2012年7月26日木曜日

第9話 2個のミルキー


発寒に不二家FC発寒下手稲通店という洋菓子店があるそうな。




ここの社長は大友さんという。

今日はその大友さんから聞いた話をしようかの。















12年ほど前のことじゃった。
暦の上では春とはいえ、歩道にはまだ少し雪が残り、まだまだ寒い頃のことじゃ。
その日は午後4時頃になると街の明かりも灯り始め、細かな雪もふってきた。
普段出ている従業員がお休みだったので、大友さんは1人でせっせとケーキを作っていたそうじゃ。



「ごめんくださーい!」元気な男の子の声が聞こえた。
「いらっしゃいませ~」と大友さんが来店したお客様の対応に出たそうじゃ。
来店したお客様は、小学生くらいの男の子とお母さんと思われる女性の2人だった。


男の子はショーケースの前に立ち、キラキラした目でケーキを見ている。
お母さんは、それを優しく微笑みながら見ているのじゃった。



大友さんは、「どんなケーキがいいかな?」と男の子に聞いたそうじゃ。
すると、お母さんが
「今日はこの子の誕生日なんです。いつも、このお店の前を通ると誕生日には不二家のケーキを買ってお家で食べようねって2人で話していたんです。」
と言ったそうじゃ。

「ありがとうございます。誕生日ケーキは2,000円前後からあります。」とお母さんに言うと、お母さんは少し困った顔をして「すみません。普通のショートケーキでいいんです。」と答えたのじゃった。



大友さんが改めて2人を見ると、大切に着ているような古そうなセーターと綺麗だが膝あてをしたズボンの男の子と、男性物のようなサイズの合わないジャンパーを着て、手編みのようなマフラーをした小柄なお母さん。

大友さんは、親子が苦労されているんだなと思い、男の子にこう言ったそうじゃ。
「君が選んだショートケーキをおじさんが素敵なバースデーケーキにしてあげるぞ!」
男の子は満面の笑みで「ありがとう、おじさん」と言うと、いちごのショートケーキを選んだのじゃった。


不二家ではバースデーケーキを注文すると、チョコレートのプレートに名前を入れている。しかし、ショートケーキには名前を入れないのが一般的だが、大友さんは男の子の名前を聞くと、チョコレートでできたカードに「Happy Birthday!○○くん」とホワイトチョコレートで書いた。


そのチョコレートのカードは1つのショートケーキには不釣り合いなほど大きかった。
大喜びの男の子に嬉しくなった大友さんはミルキーを2個そっと手渡してあげたのじゃった。




男の子もお母さんもとても嬉しそうで、大友さんも温かい気持ちで2人を見送ったそうじゃ。
男の子は、まるで宝物がつまった箱を持っているかのように大切そうにケーキの箱を持っていた。
片方の手はしっかりお母さんの手を握っていたそうじゃ。


雪が溶け、北海道にも短い夏がやってきた。
そして、またクリスマスで大忙しの冬を迎えたのじゃった。













あっという間に年が明けて、冬が終わりそうな頃、昨年男の子と一緒に来たあのお母さんが、来店した。
でも今年は1人じゃったそうな。


「今日、うちの子の誕生日なんです。ショートケーキでいいのですが・・・」

大友さんは、「昨年もご来店いただいた方ですよね?大丈夫です。ちゃんとバースデーケーキみたいにしますから」と笑顔で答えたのじゃった。

去年作ってあげたように、箱のなかにはチョコレートカードでデコレーションしたショートケーキとミルキーを2つ。
お母さんに渡すと、大切そうに受け取り、何度もお礼を言って帰られたそうじゃ。







その親子が来店してから5年目の春先のことじゃった。
その年は例年より雪が多く、まだまだ道には雪が残り、寒い日ばかりだったそうな。

そして、あのお母さんが来店した。


「いらっしゃいませ」笑顔の大友さんにお母さんは「今日は店長さんがいらっしゃったんですね。よかった・・・」と嬉しそうに言ったそうじゃ。

続けてお母さんは「ここ数年、毎年息子の誕生日のケーキを買いに来ていたのですが、私のタイミングが悪いせいか、店長さんがいらっしゃらなかったのです。でも息子には『不二家のおじさんが作ってくれたケーキだよ』と言って渡していたのです。息子は何も疑わず『おじさんのケーキはおいしいね』と言って喜んでくれますが、息子に嘘をついているようで心苦しかったのです。今年は本当に店長さんにカードを書いてもらえるとうれしいです。」

大友さんは胸が熱くなるような、気恥ずかしいような気持ちになったが、
「わかりました。いつもと同じように心を込めて作りますね」と言ってケーキとカードを作ったそうじゃ。そして、ケーキの箱には、あの時と同じミルキーを2つ。









そのまま月日は流れ、最初に親子が来店してから10年以上が経った。
その間、あのお母さんは毎年ケーキを買いに来てくれたようだが、大友さんが対応できたのは2~3回程度だったのじゃ。


5月のゴールデンウィーク直前のある日、発寒はとても暖かく春の香りがいっぱいで、空が青と赤に染まった、とても綺麗な夕方のことじゃった。


真新しいスーツを着た青年がお店に入ってきた。
大友さんはいつものように笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけたのじゃ。
青年は「こんにちは」と清々しいとても気持ちのよい笑顔で応えたのじゃった。


そして、こう言ったのじゃ・・・
「私は小学生のとき、このお店で店長さんに、いちごのショートケーキで素敵なバースデーケーキを作ってもらった者です。小さい頃、私は大きな病気をして入退院を繰り返していました。決して裕福ではない母子家庭でしたが、母は毎年このお店のバースデーケーキを買ってきてくれました。『不二家のおじさんが作ってくれたケーキだよ』と言って。でも、本当に不二家のおじさんが作ってくれたケーキは何年かに1度だけだったんですが・・・。明日は母の誕生日です。初めてもらったお給料で母に大きなケーキを買ってあげたくて来ました。」

そう言うと笑顔のまま青年はケーキを選びはじめたのじゃった。




大友さんは、あの時の小さな男の子を思い出した。大切そうにケーキが入った袋を持ち、お母さんの手を握って帰っていったシーンを・・・

そして、あのお母さんが毎年欠かさず来店して、不二家のおじさんが作ったケーキだよと言って息子にプレゼントしていた事、何よりこの子は『不二家のおじさんが作ったケーキじゃない』と知っていながらもお母さんを思って、気づかぬふりをして喜んで食べてくれていた事を考えると胸が熱くなった。










青年はショートケーキではなく、大きないちごの誕生日ケーキを選んだ。
大友さんは、お母さんの名前を聞くとチョコレートのカードに名前を入れ、その青年にケーキを渡したのじゃ。


そして、青年にこう聞いた。
「私が作ったケーキと従業員が作ったケーキ、どうして違いが判ったの?」



すると青年は笑顔でこう言ったのじゃ。
「2個のミルキーですよ。『ミルキーはママの味』って言うでしょ?多分、不二家のおじさんが私に『お母さんを大切にするんだよ』って言ってるんだって・・・だからずっと母を大切にしています。」




大友さんは、その言葉を聞いて涙が流れそうになり、気の利いた言葉を言えず「そうだったんだ」とだけ言ったそうじゃ。



ケーキを渡しながら、「今日は大切な初めてのお給料でケーキを買ってくれてありがとう。」と言うと、その青年は「来年もまた来ますから。」と言ったそうじゃ。

お辞儀して店を出ようとした青年を大友さんは呼び止め、何も言わず青年の手にミルキーを2つ乗せた。


青年は1度うなずくと、ミルキーをポケットに入れ笑顔のまま店を出たのじゃった。



めでたしめでたし






このお店ばなしは大友さんからの実話を元にカニ蔵が多少盛っています。

※ショートケーキへのネームプレートは現在は一部有料にて承っています。
※現在、ケーキを購入していただいた方にミルキーのプレゼントは行なっていません。






☆不二家FC発寒下手稲通店☆
札幌市西区発寒13条4丁目13-62 TEL011-663-6001
営業時間10:00~21:30  定休日:なし






☆不二家FC発寒下手稲通店からのお得情報☆
お買い物をしていただき「カニ蔵ブログ見ました」というと、
不二家特製ペコちゃんうちわ 先着20名様にプレゼントじゃ!
さらに1000円以上のお買い物をされた方には200円引きなのじゃ!
(平成24年8月16日まで)




2012年7月19日木曜日

第8話 発寒北の謎だらけショップ


発寒のあるところに「100円ショップ」があるそうな。




ダ○ソーなどの有名な店ではなく、個人店での100円ショップじゃそうな。

そのお店は『100円ショップはっさむ』という。





生活用品で足りないものがあるのに気がついたカニ蔵は早速買い物に行ってみたそうじゃ。

店内はよく見る100円ショップと少し様子が違うような気もするが、雑貨も色々あるし必要な物もかなり揃いそうじゃった。






「これじゃ これじゃ!」
防災袋に入れるカンパンを見つけたカニ蔵は商品に値札がついているのに気がついた。

「ん?100円ショップなんじゃから、値札はいらんだろう・・・・200円!」



『ダ○ソーでも210円とか315円とかの商品もあるからな』

とあまり気にせずに買い物を続けたそうな。







「おお!ジュースもあるではないか!」

「なに? 60円!」
普通の100円ショップでは60円の商品はあまり見かけないぞ・・・



「このお店はもしや・・・『100円前後ショップ』かもしれん」


よーく周りを見渡してみると謎だらけじゃったそうな。













商品の値段を見てみると、120円くらいの商品が多いようじゃ・・・

約100円ショップなのじゃろうか・・・」



「それとも、100円(商品)を探せショップかもしれんな」



そのうち、このお店のご主人の丹野さんが出てきた。




「丹野さん、このお店は100円ショップですかね?」
「・・・・・」




「100円以外の商品もたくさんありますね・・・」
「・・・・・」



「丹野さん?」
「・・・・・・」


「あ、あの~」
「・・・・・・」



「どっか行ってしもうた・・・」





「この100円ショップはっさむという店は謎の多い店じゃな・・・全部の商品の中で100円の商品数は中田翔の打率ぐらいだな」











「でも一番の謎はここのご主人じゃ・・・」




カニ蔵は

「それにしても、発寒北商店街は不思議な店舗ばかりじゃの~」

とつぶやいたそうな。








めでたしめでたし







☆100円ショップはっさむ☆
札幌市西区発寒12条4丁目1-1  TEL:011-661-3587
定休日:日曜日  営業時間10:00~ 18:00(冬季) 19:00(夏季)





お話の内容は多少「盛って」います。

2012年7月11日水曜日

第7話 カニ蔵の突撃取材


発寒にカネミツ小竹という金物店があるそうじゃ。


この金物店はプロの職人さんも驚く品揃えで、必要な物はなんでも揃うということじゃ。



カニ蔵は「カネミツ小竹」の社長にインタビューをしようと店に向かったそうじゃ。







社長は小竹さんというが、本人の希望により顔出しNGということじゃった。




※ご本人の希望により画像処理しています
 
 

































「シノギを始めてから何年ですか?」
  (訳:仕事を始めて何年ですか?)

「ここでのシノギは昭和44年からだな」
  (訳:発寒で会社を始めたのは昭和44年からです)



「どんなブツを扱ってますか?」
  (訳:どのような商品を取り扱っていますか?)

「金属製のものはなんでもやるぜ チェンソーや刃物もあるしな」
  (訳:金物全般と工具などがメインですね)



「商売相手はどんな人ですか?」
  (訳:お客様はどのような方が多いのですか?)

「みんなプロだ」
  (訳:施工業者など専門職の方がほとんどです。)



「ブツは何種類くらいあるのですか?」
  (訳:商品アイテムは何種類ありますか?)

「数えきれないな」
  (訳:30,000アイテム以上あります。)





「じゃぁ、ブツを見せてもらえますか?」
  (訳:商品を見せてもらえますか?

「ああ、好きなだけ確認しな」
  (訳:ごゆっくりご覧ください









「ここにあるのはドスですね?」
  (訳:包丁も取り扱っているのですね?)

「商売上必要なものだからな」
  (訳:金物店なので取り扱っています)





「これは、ハジキですか?」
  (訳:この商品はなんですか?)

「いい物に目をつけたな これが売れ筋だ」
  (訳:これは、電動ドライバですよ)




「むむ・・・」
  (訳:これはなんでしょう・・・)

「ヤマが起きると使うだろ?」
  (訳:テレビドラマでよく見る事件現場で使用する立入禁止のテープです)


「サツと取引を?」
  (訳:警察関係とのご商売もあるのですか?)

「必要なら相手がだれでも組むぜ」
  (訳:特殊な商品ですからね。警備関係の会社様などが購入していただいているようです。)







「これは、ハジキですか?」 
  (訳:こちらの商品はなにに使用するものですか?)

「危ねぇ! 人に向けるんじゃねぇ」
  (訳:これはコーキングするときに使う工具ですよ)







「小竹さんは組のナンバー2をされているとか?」
  (訳:小竹さんは商店街組合の副理事長を務められていらっしゃるそうですね?)

「盃交わしてから永いからな」
  (訳:発寒北商店街振興組合に永く加盟させていただいていますから)




「組のシノギにも手を出してますね」
  (訳:発寒北商店街振興組合で行なっている廃食油回収もしていますね)

1リットルのコーラのペットボトルキャップも、ちゃんと分別してやったぜ」
  (訳:ワイルドだろ~)






カニ蔵は、小竹さんが流行りのギャグを盛り込んだことを無視することにしたそうじゃ






「手間取らせました。」
  (訳:お時間をいただきありがとうございました。)

「おう」
  (訳:こちらこそ、ありがとうございました。)











カニ蔵は『そういえば、このブログは昔ばなし風のハズなのに今回はワイドショーみたいになってしもうた。』と思ったそうじゃ。












それに、このままでは小竹さんがアブナい人だと勘違いされてしまう・・・困ったカニ蔵は「顔出しNG」と言われてるけど・・・まぁいいや










出しちゃいました。





めでたしめでたし





☆カネミツ小竹☆
札幌市西区発寒13条3丁目7-30
定休日:日曜・祝日  営業時間:
TEL:011-661-1992 







2012年7月5日木曜日

第6話 カニ蔵の視力


カニ蔵は小さい頃から視力が良く、視力検査のとき一番下のマークまでよく見えたそうな。



「たぶん、視力は4.0以上ある。」と周りの人に自慢話をしておった。












でも最近、なぜか近くの字が見づらいような気がしてきたそうじゃ。

目から離して見ると少しマシなような気がする・・・



離したほうがよく見えるという事は、視力がさらにアップして6.0くらいになっておるのではないだろうか・・・このままいくと肉眼で土星の輪が見えるかもしれん!









「こりゃー楽しみじゃ!このことを近所のオッサン達にも自慢してやらねば!」
早速、近所のメガネ屋のオヤジに自慢しに行く事にしたそうじゃ。



近所のメガネ屋は「メガネブティック中村」という、コジャレた名前の店じゃった。




この店の社長は中村洋一というオッサンだが、どうも商店街の理事を務めるエラい人らしい。











←発寒北商店街振興組合 理事











「そーいえば、あの人もエライらしいなぁ。(※第4話参照)」




←発寒北商店街振興組合 副理事長






などと言いながらお店に入っていったそうじゃ。


お店に入るなり中村さんに向かって

「最近、遠くのものがよ~く見えるようになった!このままいくと、20km渋滞している先頭車両が見えるようになるぞ!わしにメガネは当分必要無いようじゃな!ワッハッハ」

と意味不明な事を言い始めたそうじゃ。

中村さんは「そりゃすごいね~」
と奥さんともども優しく対応してくれたのじゃった。



カニ蔵はさらに調子に乗って

「もうすぐ、『発寒北に超スゴイ視力のイケメン現る!』とか週刊誌や新聞に書かれ、めちゃめちゃ有名人になってしまう。メガネは必要ないからサングラスでも用意しようかの~」




と店内のサングラスを物色し始めたそうじゃ。



これはどうかな?
これじゃセレブマダムじゃ!



これは?
どうも怪しい人物に見えるぞ・・・




その様子を見ていた中村さんが、カニ蔵にこう言ったそうじゃ。
「念のため、視力検査してみようか?」



「それはいい!4.05.0か知らんが、しばらく検査していないからちょうどいい」
と検査してもらうことにしたそうじゃ。


検査を終えると、カニ蔵は中村さんに聞いたそうじゃ
「どうじゃ?ちょっと控えめに言うと視力4.5くらいかの?」

すると中村さんは

「老眼の始まりだね」と冷たく言ったのじゃった。



「ろ! ローガン・・・・」





「おーい、老眼鏡は買わないのかい?」

カニ蔵はあまりのショックに何も言わず肩をがっくり落としてトボトボ帰ったそうじゃ。




「あ・・・ カニ蔵の頭に蚊がとまってるなぁ・・・」












かいぃ





めでたしめでたし






☆メガネブティック中村☆
札幌市西区発寒113丁目5-18
定休日:第1・第3日曜日 営業時間:10:0019:00
TELFAX 011-666-0504



☆メガネブティック中村からのお得情報☆
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8月末まで、本物のメガネフレームの素材を使った「メガネ型携帯トラップ」
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